何人も弁護士さんを渡り歩くことのリスク
私は相続はもめずにするのが、その後の親戚付合のために最も大切なことであると考えている。ちょっとくらいの不利な条件なら飲んでしまった方が争いになるよりはよっぽど経済的に有利な場合が多い。しかし、現実には身近な人同士だけに余計に許せないものがあるようで争いになってしまうことがままある。
この例も親の公正証書遺言があり、遺言執行者が信託銀行になっていた。相続人は3人の子で相続分は、1人に有利になっており、残り2人に不利になっていたが、遺留分までは侵害していない状況であった。信託銀行は遺言を執行した。
2人の兄弟は怒り、ついに話もできない状況になった。
私はその1人だけ有利になった子に依頼され相続税の申告書を作成した。相続税の申告書というのは相続人が連名で提出する形式になっているが単独で提出することもできる。
「2人」は私が作成する申告書とは別に申告書を作成するということであった。
申告書も出来上がり、提出しようかなと思っていると、「2人」の税理士であるという人物から事務所に電話があり、私の作成した申告書とその方が作成した申告書のすり合わせをしたいということだった。私もすり合わせをしておいた方が良いと考えていたので、承諾し、税理士事務所の名前を聞いた。
一応と思ってその税理士の名前を検索してみたが、日本税理士連合会の検索システムに登録がない。つまり偽税理士である疑いが高くなった。困ったと思っていると、その偽税理士と思われる人物から連絡があり、私の作成した申告書を事務所へ送るよう依頼された。私は会って、お互いの申告書を比べあうことを想定していたが、偽税理士は私の申告書を一方的に提出してほしいということだった。結果、すり合わせの件は断った。
そして、私は申告書を税務署に提出し仕事を終えた。
申告書を提出して、数日が経ったころ、「2人」の兄弟の弁護士から手紙が私の依頼者に届いた。内容は私の申告書を提出してほしいということだった。多分、遺留分を侵害しているかどうかを計算する資料に私の申告書を使いたいということだろう。しかし、遺言書はそれぞれの相続人も持っているので、その弁護士が自分で財産を評価すれば足りることであった。
そこで、私の依頼者は弁護士に申告書を提出することを断った。弁護士は自分で計算したのか弁護士からの連絡はなくなった。
また、しばらくすると別の弁護士事務所から手紙が私の依頼者に送られてきた。内容は前回と同じ、申告書を提出してほしいというものだった。また、断った。
結局、2人の兄弟は申告書を税務署に提出することはできず、弁護士にたんまり報酬を支払わされたであろうことを推測する。
だから、言ってるでしょう。相続は司法書士と税理士だけできるぐらいで済ませてしまうのが、一番経済的だと。